コーヒーサロン(2)

 

 川島さんからは先ず、「ルワンダコーヒーの課題と日本の支援」についての講演があり、JICAプロジェクトによる栽培からカップまでの取り組みが説明され、栽培技術の向上や焙煎・包装技術の向上、品質規格の見直しや国内需要と品質管理について、ルワンダという国の特徴を踏まえて分かりやすく解説されました。ルワンダコーヒーについては、これまで何回も講演を聴いていたこともあって、少しずつ産地の様子が変わっていくのが分かり、「あと数年で皆さんのところに届けられる」という言葉が現実味を帯びているのが感じられます。 

「コーヒー産地から見たコーヒーの変遷」のテーマでは、多方面からの変化を具体的に説明されました。 

■農園経営の変化 

 賃金・農薬・肥料の上昇によって生産コストが上昇する中、コーヒーの世界相場は変わっていないため、ブラジルのような大規模生産方式しか生き残れないのではないかという不安が広がり、低地での大量生産か、高地でのスペシャリティーコーヒーの選択が始まり、中間地での栽培が減少している。 

 また、農業従事者となるべき若者の農業離れや、高学歴化、親も無理に継がせたくないという後継者問題も起きている。この点は地場産業の陶磁器業界とも共通しますね。 

■農園を取り巻く環境の変化 

 携帯電話の普及により、情報と移動のスピードが早くなり、少しでも高賃金の場所へ人が移り、収穫期の労働力不足が深刻となる労働者問題。人口増加による都市化や農地のある場所が観光地化してしまい、農地から宅地へ変わってしまいます。これには、富裕層による節税対策や農園の周辺の観光資源という要因もあるようです。 

■自然環境と保護の変化 

 地球温暖化という気候変動が今後も現状のペースで進行した場合、コーヒーの栽培は困難となることや、環境保護の観点からも、農薬規制がますます厳しくなるうえ、水洗処理の際に発生する汚水処理問題などのコスト面での問題も起きてきます。 

■ビジネスの変化 

 高品質のコーヒーの需要が韓国、中国、台湾、シンガポール、マレーシアなどのアジア諸国で増えているため、品評会やオークションでの価格が異常に高騰するうえ、過剰な需要が品質低下を招いている。それにともない、ダイレクト・インポート(DI)と呼ばれる農園直接取引が欧米のコーヒー業者で増え、上物をDIに売り、裾物をそれまでの顧客に販売するという弊害も出ている。 

■品質の変化

  サビ病耐性人工交配種が意図的に増やされており、多様性のある在来種が減少している。そんな中でも、異常なゲイシャブームが続いている。これまで、アラビカ70%、ロブスタ30%だったが、現在はアラビカ55%、ロブスタ45%と、新興国のコーヒー需要拡大に伴って、インスタントコーヒー用のロブスタの生産量が増えている。

■プロセスの変化

  非水洗式が中心だったブラジルが水洗式を始めたり、水洗式がほとんどだった中米が非水洗式を行うなど、半水洗式(ハニー、パルプドナチュラル)を含めプロセスが多様化している。

 その他、選別機の性能アップや加熱しない乾燥機、アフリカン・ベットの改良等もみられます。

 川島さんのように、直接現地で指導されている方の話には興味がつきません。産地の政情不安な面や商業主義的なまやかし的な話など、多くの話題を絡ませての話は時間があっという間に過ぎてしまいました。