お客様の目

 夏場はコーヒー豆の需要が減るのですが、ありがたいことに毎日購入していただいているおかで、日々焙煎を楽しむことができます。

 今日は、10日ほど前に初めて来店されて、その時飲まれたコーヒー豆を購入されたお客様が再度来店され、2種類の豆を新たに購入していただきました。会計時に、「ここは、欠点豆を取り除いてありますね。」と声をかけていただいたので、とても嬉しくなってしまった。

 欠点豆というのは、焙煎途中に欠けたものや虫喰い、未熟豆、貝殻豆、と言われるものなのですが、お店では手作業でコツコツと取り除いています。少量焙煎ということもあり、あまり面倒だとは感じませんが、大量に焙煎する場合の作業は欠点豆の量も作業時間も馬鹿になりません。しかし、コーヒーを学んでいた初期の頃に、何度も欠点豆だけのコーヒーを飲んだ経験があるため、美味しいコーヒーを提供するためには必要な作業だと痛感しているのです。

 「ここは、欠点豆を取り除いてありますね。」という言葉の裏には、欠点豆を取り除かない店で購入された経験があるわけで、コーヒー豆のことを良く理解しておられるので、その期待を裏切らないように今後もコツコツと地味な作業を続けていきたいと思うのでした。お客様の目は騙せませんからね。

 私の知る限り、近辺の自家焙煎店では欠点豆を取り除く作業は行われているのですが、都市部の中の一部では大量に焙煎するため省略している店もあります。東京の有名店でも、「少しぐらいあった方が深みが増す。」なんて店員さんが言ってましたから。「こりゃダメだ」と思って、それ以降は焙煎を学びに行きませんでした。