多様性

 毎朝6時前には起床するのですが、今は先ずテレビのスイッチを入れ、オリンピックの結果を見る事が楽しみになっています。連日のメダルラッシュで、早朝からワクワクさせてくれる日々が続いています。

 そんなリオ・オリンピックですが、開会式の演出も低予算に関わらず見ごたえのある内容でした。多民族国家ブラジルらしい「多様性」と「自然」、「笑顔」の三つの柱から構成され、これら三つの柱の上に『寛容』をテーマに表現された素晴らしいものでした。

 「多様性」という言葉はコーヒーにおいてもよく使われており、コーヒー生産地の多くが、生物多様性ホットスポット内に位置しており、栽培方法や栽培場所の選択が重要な影響を与えることから、「生物多様性とコーヒー生産の両立」が重要な課題になっています。コーヒーの生産を落とさず環境保全と持続可能な生産を実現するため、節水型の精製機の採用や、害虫駆除やさび病への農薬を減らすために新たな品種改良などの取り組みも行われているのです。

 また、コーヒー自体の多様性もあります。産地や農園、あるいは生産区画などにより詳細に味が特定できるほど、味わいに特長があらわれ、それぞれの「味覚の多様性」をきちんと楽しむことができるのもが求められているようです。コーヒーそのものの品種や精製方法の違いを明確にさせることで、コーヒーが生み出す多様性に注目が集まっている証でしょうか。今年のSCAJ2016のテーマは「多様性と革新」であり、昨年の「多様性への招待」と「多様性」という言葉が続きます。

 そして最近では、コーヒー業界の色々な団体や○○資格も多様性に富んでいます。○○協会、○○アカデミーとか○○セミナー、○○教室などが無数に存在し、どの団体に入って学んだらよいのか私自身も随分迷ったものでした。実際多くの場所に出入りしてみると、有形無形の規制や圧力を感じたり、かえって多様性が失われるんじゃないかと思うこともしばしばあったのです。

 「多様性」って言葉は、けっこう都合の良い言葉なのかもしれません。自主規制のような制限がなければ、正直「何でもあり」になってしまい、『寛容』でごまかされてしまいそうです。