水出しコーヒー

 お客様との会話の中でアイスコーヒーの作り方が話題になり、水出しコーヒーが簡単に作れる器具があることを説明するため、久しぶりにイワキのウォータードリップコーヒーサーバーで実演してみました。

 水出しコーヒーの作り方には2種類あり、①水に珈琲の粉を浸け込み、抽出後、粉を濾過して除くもの。②珈琲の粉に水を点滴しつづけるもの 。なのですが、今回使用した器具は②の点滴抽出の簡易版です。
 前者は浸漬式の冷浸版とでもいうべき方法で、特別な装置も必要なく、緑茶パックのような袋に入れて漬け込む物も販売されています。簡単に作れる反面、雑味がでてしまう場合が多いように感じます。後者の方は、「水出しコーヒー」と専門店で販売している「ダッチコーヒー」と呼ばれる、透過式による抽出方法になります。同じ水出しとは言っても、その原理はサイフォンとドリップの違いがあるのです。

 水で淹れるメリットには、香りが逃げずに、そのまま珈琲に封じ込められることや、苦味が抑えられて柔らかい苦味になり、同時に甘味も引き出されるのですが、逆に時間をかけてゆっくり成分を抽出しなければならず、抽出に時間がかかる点や、酸味を引き出せない、豆が不快な匂いを持つとき、それが珈琲に混じってしまうという欠点もあります。

 抽出した翌日にも同じお客様が来店されたので、お湯で抽出したものと水出しを飲み比べていただきましたが、「水出しは飲みやすく柔らかい感じがするけど、やっぱりお湯で出したものが好き」と言われてしまいました。他の方にも飲み比べの試飲をしてもらいましたが、半数以上の方がお湯で抽出してものを好まれました。あくまでも好みの問題ですから何とも言えませんが、飲みやすさよりも物足りなさが強く感じるようです。

 水出しコーヒーは本来、インドネシアのジャワ島で栽培されていたロブスタを飲みやすくするため、植民地としていたオランダ人が考え出した方法であり、深煎り豆や低品質の豆には合うかもしれませんが、アラビカや浅煎りの豆には向いていない抽出方法なのかもしれません。ちなみに、ダッチコーヒーと呼んでいるのに、オランダ人は全く知らない淹れ方のようですね。