美味しい = 美味しくない ?

 お店のドア近くの壁の下に、スミレの花が一輪咲いています。花壇と離れているので気づかないくらいですが、そっと見守っています。何だか自分の店のようでホッとするからです。

 花壇に植えた沢山の花々も華やかで素敵なのですが、「あっ、こんな所に珈琲屋があるんだ。」って言うような、目立たなくても普通に存在する店を目標にしているので、このスミレの花を見ると「頑張れよ!」って声をかけたくなっちゃいます。前からあるけど特に目立たない、どちらかというと地味に見えるけど、人を引き付けるようになりたいものです。

 ありがたいことに口コミで新しいお客様も来店され、帰り際に「美味しかった」「コーヒーは苦手だったけど、ここのは飲めたよ」などど嬉しい言葉をかけてもらったり、友人と来店された方がドアを閉めるときに「この店良かったね」と会話する声が聞こえたときは励みになります。

 同時に、友人に誘われてついて来たものの、どうも口に合わなかったようで、コーヒーカップにコーヒーが残っている時も見られます。それは当然のことであり、嗜好品であるコーヒーは全員が美味しいと口を揃えて言っていただけるものではありませんし、ましてや店内禁煙で新聞も置いていない店では「好きじゃない!」という声もあるでしょう。「美味しい=美味しくない」というのは、意見というのは表裏一体であって、美味しいと思う人の数と美味しくないと思う人の数は、同じくらい存在するということ常に認識しておくべき事なのです。

 だからといって何かしなければいけないものではなく、珈琲屋2年目の自分に出来る事を一生懸命に行うだけです。背伸びせず真面目にコツコツと積み重ねていき、何年か経ったときに「あっスミレが咲いている」と気付いたように、「あっ、珈琲屋さんだ。寄ってみよ!」って、なるようにしたいものです。