味覚表現

 お店で販売しているコーヒー豆や「本日のコーヒー」として毎日提供しているコーヒーについて、「どんな感じですか?」、「酸味がありますか?」、「苦くないですか?」等と質問されるので、コーヒーの特性や味覚表現を記載を勧められることがあります。

 確かに、お店によっては次のような説明書きを付けているところもありますね。

■香り・コク・酸味・風味
■甘味・香り・酸味・ボディ(力強さ)
■酸味・苦味・コク・香味

そえぞれの味覚を数値やグラフで強弱を表すなど。

 けれど、味覚については個人の感覚や好みもあるため、一概にそうした表現と合致するとは限りません。そんな訳で、お店では迷われたお客様にはできるだけ、注文していただいたコーヒー以外に、試飲用のコーヒーをお出しするようにしています。「飲まなきゃ分からない」「飲めば分かる」というのが私の考え方です。

 スペシャリティーコーヒーの分野では、「米国スペシャリティーコーヒー協会」(Specialty Coffee Association of America:SCAA) が作成していている「コーヒーテイスターズ・フレーバーホイール」通称フレーバーホイールと呼ばれる「共通言語」を使用して味覚表現しているのですが、今年1月に20年ぶりに更新されたものを見ていると、85もの細分化された表現方法があります。

 ちなみに、中心のホイールには「花・フルーツ・酸味/発行・野菜・その他・焼き・香辛料・ナッツ/ココア・甘味」に分けられ、「フルーツ」ではさらに「ベリー・ドライフルーツ・その他の果実・柑橘類」にホイールが広がり、最後の「その他の果実」ホイールでは「ココナッツ・チェリー・ザクロ・パイナップル・マスカット・青リンゴ・桃・洋梨・グレープフルーツ・オレンジ」と具体的な表現方法にたどり着きます。

 フルーツを感じる酸味といっても、その一部だけでもこれだけあるのですから、お客様が持っている酸味と何処が違うのか?何を味覚として感じていらっしゃるのか的確に説明できる自信がないので、「試飲をお持ちします!」となるのです。フレーバーホイールの中には、「スカンクの悪臭」とか「カビたパン」なんてものあって、経験したことがない無くって「どんなの?」ってのもあります。

 分かりやすく表現方法を細分化しても、最後には「美味しいか」「不味いか」なのですから、これからも試飲をお勧めしていこうと考えているのでした。