オーストラリアのコーヒー

 お店では毎日「本日のコーヒー」として、日替わりで色々な産地や品種のコーヒーを紹介しています。ただ、世界で70カ国以上の国々が生産しているコーヒーですから、お店で紹介できるコーヒー豆の数は限られたものになってしまいます。そんな理由もあって、これまでにグアテマラやコロンビアなどの産地から、普段紹介できない農園のコーヒーを期間限定で販売してきました。

 お客様が飲んだこともない産地を提供したいという想いと同時に、自分も未知なコーヒーを焙煎して確かめたいという夢もあるのですが、生産量が極めて少なかったり、仕入れ価格が異常に高価なものなどは中々実現させることができません。オーストラリアのコーヒーもその一つです。

 世界におけるオーストラリアのコーヒー生産量の割合は、何と0.0001%以下と言われています。極めてゼロに近い生産量なもんですから、市場には出回ることは少ないですし、特別な機会がなければオーストラリア産のコーヒーを飲む機会はないかもしれません。コーヒー栽培の歴史は意外と古く、1880年から始まったとされています。しかし、品質が悪かったり収穫高不足などでなかなか日の目を見なかったようで、現在では政府機関の協力のもと、品種が見直され高品質のコーヒーが作られるようになりました。主要産地はケアンズから1時間半くらいのところのマリーバ地区で、国内の約7割が生産されています。

 今回、お客様に提供できる生豆が入手出来なかったため、焙煎したものを購入したのですが、その豆はニューサウスウェールズ州にある、マウンテントップ農園のものです。農園が位置する場所は標高300~400mと、高品質コーヒーの産地としては低いのですが、亜熱帯気候のこの地域は主要コーヒー産地の標高1200mの気候に該当するそうです。豆はアフリカ由来のK7という品種なので、アフリカらしい酸味が強くボディがあるイメージでしたが、気候や土壌、その他様々な条件がアフリカとは異なるために、どちらかというと優しい味わいで、「さっぱり爽やか」といった感じでした。

 購入したコーヒー豆は少量のため、多くの方に試飲をしてもらうことができませんでしたが、これからも興味のあるものをサンプルとして取り寄せ、お客様に紹介できるようなイベントを行っていきたいと考えています。