障害者差別解消法?

 昨晩、手話サークルで行った通訳練習文に「障害者差別解消法」という言葉が出てきました。これまでも時々目にした言葉なのですが、「障害者への差別をなくす法律ができたんだ。」程度の感覚でしたので、あまり深く考えることもなく過ごしてきました。けれど、何となく気になり、家に帰ってから調べてみたのです。

 内閣府のホームページによると、国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)が制定されました(施行は一部の附則を除き平成28年4月1日)。という内容ですが、条文を読んでも何だかよくわかりません。そこで、日本障害者フォーラムが作成した、「障害者差別解消法って何?」と題した冊子を見ることに。

 これまで「障害」とは、目に見えない、歩けないなど、その人が持っている性質だけから生じると、多くの場合考えられてきました。しかし、それだけではなく、そうした個人の性質のため、働けなかったり、さまざまな活動に参加できなかったりするような社会のしくみ(人々の偏見、建物や制度など)にも問題があり、そのような社会のしくみと人のかかわりから「障害」が生じると考えられています。

 また、社会でさまざまな活動をする時に、障害のある人が、障害のない人より不利になることが多く見受けられます。今までは、そうした不利の原因をその人の持つ機能障害のせい、と考えてきました(「障害の医学モデル」の考え方)。しかし、国連でつくられた障害者権利条約は、機能障害のことを考えないでつくられた社会のしくみ(社会的障壁)に原因がある、としました。

 今回の「障害者差別解消法」は、昭和45年に制定された「障害者基本法」の第四条、①差別する行為を禁止し、②社会的バリアを取り除くための合理的な配慮をしないと差別になる、と定めているものを具体的に実現するための法律ということが言えます。

 考えてみたら、昭和45年の障害者基本法から40年以上経過しても道半ばというのは、「差別」というのは永遠の課題のような気がしてなりません。人種、宗教、国籍などなど、「人類みな兄弟」という言葉に真実味の感じられないことばかりですから。

 気になる事柄をちょっと立ち止まって考える事、日常には必要な事なんですが中々出来ませんね。