グアテマラ

  コーヒー豆で一番売れているのがブレンドです。その次がグアテマラなのですが、グアテマラという国が中米にあることぐらいしか認識されておらず、どんな国なのか知らない方が多いのではないでしょうか?

 グアテマラのコーヒー豆のルーツはというと、1750年にイエズス会修道士の手によって苗木がグアテマラ内に持ち込まれたのが始まりです。この苗木、根を下ろしたのも神聖なる場所。アンティグアにあるSociety of Jesus教会の中庭なんです。その後1821年の独立後、コスタリカから栽培技術が導入され、1860年以降から本格的に栽培が始まります。 のちに各地域にコーヒー農業は広がりをみせ、今では一つの国にいくつもの有名農園を抱えるコーヒー大国へと成長しました。

 生産地は大きく区分すると、「アンティグア」「ウエウエテナンゴ」「アティトラン」「フライハネス」「コバン」「サンマルコス」「オリエンテ」「アカテナンゴ」の8つに分かれています。 当店で扱っているものは、その中の「アンティグア」地区のもので、アグア火山、フエゴ火山、アカテナンゴ火山に囲まれた地区で、ミネラル豊富な火山性土壌でコーヒー栽培がおこなわれ、雨季と乾季のハッキリした気候や夜の冷え込みはこの地区の特徴のため、世界的に高く評価されている風味の源となっています。
 コーヒーについてはそのくらいにして、グアテマラの治安について説明します。グアテマラは、1960年から36年間続いた内戦によって25万人が犠牲になっており、今でも一般の犯罪や暴力団による殺人が絶えません。外務省の海外安全ホームページによれば、グアテマラ全土が「十分注意してください」と黄色く塗られています。詳細情報によると、グアテマラにおいては、政治的混乱はないものの、治安状況の改善を求めたり、生活必需品の価格高騰に反対するデモ等が全国で散発的に発生し、首都グアテマラ市を中心に一般犯罪が多発しており、2013年の殺人事件は5,252件と、治安は依然として深刻な状況にあります。このほか、グアテマラはメキシコやコロンビアからの麻薬組織の流入がみられ、南米と北米を結ぶ「麻薬の経由地」となっており、麻薬密売組織の活動が活発化しています。特にペテン県をはじめとする国境地帯では、組織的な麻薬密輸が行われ、麻薬組織間の抗争や麻薬にからむ犯罪が発生しています。

 以前、コーヒー豆の買い付けに行かれた方に話を聞いた際には、農場の前に置いたトラックに銃弾の跡がある写真を見せてもらいました。また、買い付けた豆がギャングによって強奪されて、日本に到着するのが遅れたという話を聞きました。画像は世界遺産の街アンティグアの十字架の丘から眺めるアグア火山の素晴らしい景色ですが、スリ、置き引きなど軽犯罪は日常茶飯事のようです。

 こうした国から届いたコーヒー豆を飲んでいることも覚えていてほしいものです。だって、自分の口に入れているもののことも知ってほしいから。