アメリカンください!

 「アメリカンください!」と注文される方があります。いちおう迷いながらメニューには入れましたが、「アメリカン」という名称には実は違和感があるんです。

 その答えが「コーヒークイズ」の第5問の答えです。今回は、その回答の全文を載せてみました。

 一般的に「アメリカン」と言われるコーヒーは、アメリカ式の焙煎表示で使用される8段階の焙煎度分類の中で、焙煎度が低いシナモンロースト(浅煎り)やミディアムロースト(やや浅めの中煎り)の豆を使って、抽出したコーヒーのことを言います。
  この「アメリカン」名称は、日本で使われる呼称であって、世界基準となる珈琲鑑定士用語には存在していませんし、アメリカでも「アメリカンコーヒー」とは言いません。また、「レギュラーコーヒー」も言いません。実際、アメリカではスターバックスに代表されるシアトル系コーヒーなどのエスプレッソ等も好んで飲まれるようになっています。ただ、アメリカ西部の方が浅煎りの豆を使用し、東部の方が深めに焙煎した豆を使用する傾向があるようです。
 では、なぜ「アメリカン」とう名称が使われたのでしょか。これには諸説あるようで、「1964年東京芝田村町の、とある石油会社ビル内の地下で営業している喫茶店において、当時深煎りが主流であった日本のコーヒーを何杯でも飲めるようにという、アメリカ駐在帰りの会社員の客からのリクエストに応え、コーヒーカップより一回り大きいミルクカップにコーヒー豆の量を少なめにして淹れることで、浅煎りのコーヒーに見立てた」という説や、「1966年に設立された日本珈琲販売共同機構を本部とする珈琲専門店フランチャイズ『コーヒーハウスぽえむ』が日本で初めてメニューとして登場させた」など複数の説が存在します。
 なお、1979年にサントリーがV.S.O.PのCMで「ブランデー水で割ったらアメリカン」のキャッチフレーズを使用してブームになり、落語家などが『ただの珈琲、お湯で薄めればアメリカン!』と茶化し始めたのがきっかけで、通常のコーヒーをお湯割りにしたものを「アメリカン・コーヒー」と認識している人達が今でも見られますが、こうした見方は誤っています。喫茶店の全盛時代の1980年代にはミルクや砂糖を添加せずに、ブラックで飲めるアメリカンコーヒーが日本で大流行しました。その際には、浅く焙煎したコーヒー豆を使って淹れるアメリカンコーヒーの店と、普通のコーヒー豆で普通に淹れたコーヒーを、お湯で薄めたアメリカンコーヒーの店とがあったようです。
 焙煎が浅い豆を使用するため、コヒーは苦味は弱く、逆に酸味は強いコーヒーができます。ところが、苦味は弱くて飲みやすいのですが、カフェインは実は多いというのはあまり知られていません。カフェインは、焙煎によって順に減ります。焙煎が浅いとカフェインが多く残ることになるのです。

 以上がコーヒークイズの解答として掲載している文面です。ちなみに、当店では浅煎りの豆を使用して淹れていますので、ブレンドと異なり酸味があると思います。実際のところ、多くの店ではお湯で割ったものをアメリカンとして提供しているので、「この店のは美味しくない!」と思った方も多いのではないでしょうか。そんな方はブレンドをお試しください。(でも、もう来店されないかも)