BGMについて

 店舗内に設置するスピーカーの位置について思案しているので、BGMについて考えてみました。

 飲食店や美容室などでBGMを流す場合に問題となるのが著作権です。法律によれば、著作物の利用による直接的な営利の促進に限定して解されるものではなく、間接的な営利的効果を目的とする利用行為も含むものと解されており、デパートでのBGMや会社のオフィス内でのBGMなど営利性のある場での利用を広く含むものなのです。 そのため、飲食店でのBGMも、飲食店が営利事業である以上「営利を目的」としたものとなるのです。

 では店舗内でBGMを流す場合、具体的にどのような手段があるのかというと、次のような選択肢があります。

①有線放送を契約する。

②手持ちのCDを流すために、JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)と使用契約を結ぶ。

③著作権フリーの音源を使用する。

 ①の有線放送には大手の「USEN」と「キャンシステム」の二つがありますが、料金はおよそ月額5,000円前後で、キャンシステムの方がUSENより少し安いようです。その他にもインターネット回線を使用した格安のところもありますが、安いところでは最新ヒット曲が流れなかったりなど、値段相応といったところです。いずれも著作権料をJASRACへ代行して支払っています。

 意外と知られていないのが、毎年テレビで放送されている「日本有線大賞」はUSENとはまったく関係なく、キャンシステム加盟の一般社団法人全国有線音楽放送協会のリクエストデータを元にした賞なのだそうです。

 喫茶店やカラオケ店の全盛期の時には、多くの店が有線放送を利用していたので、著作権料収入が安定的に入っていたのですが、店舗の減少や店側が気に入ったCDを流すなどの変化によって、JASRACの直接徴収が厳格化されるようになりました。

②JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)と使用契約を結ぶ場合、店舗面積   500m2までは6,000円の年額使用料(別途消費税相当額を加算)となります。500m2というと150坪な訳で、小規模な店舗が一般的なことを考えると、とんでもない料金体系だと思うんです。さすが、文部科学省からの役員の天下りが50年以上続いてるだけのことはあります。だけど、契約料金を支払えばほとんどのCDが使えるので、気兼ねなく店舗で流せます。

③そんな役人の天下りのための給料を支払いたくない場合は、著作権フリーの音源をweb上からダウンロードしたり、著作権フリーのCDを使用することもできます。ただ、流行の音楽を流せないことや、音質が悪いと言った欠点もあります。

 著作権のことが煩わしい場合は、FMラジオ放送を店内で流すのも方法です。実は、ラジオ放送はOKとされています。でも、ネットラジオはNGなんだとか。よく仕組みが分かりません。究極は、店内でBGMを流さないことです。自家焙煎の珈琲屋さんでは時々あるんです。コーヒーとじっくり向き合ってもらうためとか、BGMに金なんか払いたくないっていう個性的な方がお見えになります。

 結局のところ、JASRACと使用契約を結ぶことになるんでしょうね。