牡丹鍋

 先日、中学生時代の恩師から頂戴した猪肉を牡丹鍋でいただきました。猪の焼肉、味噌漬肉に続いて牡丹鍋と猪肉を堪能できます。感謝!感謝!です。

 猪肉は、馬や牛が存在しなかった縄文、弥生時代の頃から、食料源として貴重なものであったようで、その後の古事記や日本書紀にも記述があるとか、その後、日本に仏教が伝来すると、その影響で肉食が禁じられていましたが、実際にはかなり市中で獣肉が出回っていました。中でも猪肉は美味とされ、江戸時代でも「山鯨」と称して食べ続けました。このことは古典落語の「池田のシシ買い」でもわかります。

 猪鍋のことを「牡丹鍋」と呼ぶのか由来を調べてみると、猪肉を煮込むとあぶらみがちぢれてぼたんの花のようになるという説。また、大皿にぼたんの花を形どって並べると鮮やかな肉のいろどりが牡丹の花のようであるということからという説がありますが、どうも猪を「獅子」とした「唐獅子牡丹」からの隠語のようです。  

 では「唐獅子牡丹」とは何のことか。獅子は“百獣の王”最も勇敢な生き物ですが、唯一の敵が己の中に居る虫で、その害虫は牡丹の花から落ちる夜露を浴びると死んでしまうとされています。なので獅子は安心して居られる牡丹の花の下で眠る!「心の拠り所」を意味した言葉なんだとか。へェ~!な話でした。
 ところで、牡丹鍋の味でしたが、家族全員が美味しいといって喜んでいました。意外に柔らかくて臭みもなく、脂身にところがプリッとして独特なうま味があります。噛み終わった後に少し野性味のある香りがあるのも牡丹鍋を食べているという実感が湧いてきますね。もう一度、恩師に感謝!感謝!