市の木

郵便局へ出かけた際、隣にある下石公民館の前のヒトツバタゴが白い花を咲かせ、まるで雪が積もったような光景でした。市内の主だった施設には、この「ナンジャモンジャ」と称されるヒトツバタゴが植えられており、この時期になると白い花が咲き誇っています。それもそのはず、土岐市ではヒトツバタゴが「市の木」に指定されているのです。

ヒトツバタゴはモクセイ科の落葉高木で、「ナンジャモンジャ」の別名で知られ、 よく似ている「トネリコ」(別名「タゴ」)という木が複葉植物であるのに対し、単葉であるために「ヒトツバタゴ(一つ葉タゴ)」と名付けられました。名付け親は、江戸時代に現在の愛知県にある尾州二ノ宮山中でこの木を発見した、名古屋の本草学者・水谷豊文だと言われています。

では、ナンジャモンジャという呼び名の由来を見てみると、特定の名付け親はなく、幾つかの説が存在しています。

・元々は占い神事に利用されていたもので、植物名で直接呼ぶことが憚られたものではないかという説。

・その地域に見かけない種類の樹木に「ナンジャモンジャ」と名付けられた。

1枚の花弁が4つに分かれて4枚に見えることから「何だこれは」が「ナンジャモンジャ」になったという説。

・神木の前を通りかかった水戸黄門が「この木はなんじゃ」と聞いたところ、地元の人が聞き取れず「なんじゃもんじゃ」と返答して、木の名前だと勘違いして広まったという話。 

 どれもこれも怪しい説ではあるからこそ、「ナンジャモンジャ」という別名がピッタリかも知れません。ちなみに、ヒトツバタゴは国内では長崎県対馬北端、岐阜県木曽川周辺、愛知県の一部などに自生しており、国の絶滅危惧II類(VU)に指定されているんだとか。5月から6月にかけて土岐市内の白山神社や織部の里公園などで、雪をかぶったような白い花を見ることができます。また、どんぶり会館前の県道66号線沿いは、ヒトツバタゴが多く植えられていることから「なんじゃもんじゃ街道」の愛称が付けられております。